
とはいえ1990年6月1日の初版から、35年も経過しているので「現在」にするにはちょっと昔過ぎるかもしれませんが。
ふと思い出して、何十年かぶりに読み返してみた一冊。35年は経過していますが、漫画の鮮度は全然落ちてません。やっぱり面白い。読むほどに人間の深みが試されるような作品です。
時代背景は平成2年のバブル崩壊の直前、日本はまだまだイケイケ☆バブリーの時代です。
ワイハー、チャンネーとギロッポンでシースーな時代です。スマホどころか携帯電話もポケベルも無い時代。
初めて読んだあの頃には 何のことだかわからなかったシーンが、今なら少しは理解出来たり腑に落ちたり。
自分も少しは大人になったのかなぁ?と思えた時間でした。(しかしまだまだ、理解の浅い部分もあり)
メインのキャラ「リョウ」と「エイコ」(本の表紙の2人)は東京のアパートで同居している姉弟。
ストーリーは、ある日突然 親に内緒で大学を中退した弟のリョウが髪を脱色。
真面目でしっかり者の姉エイコは、能天気なリョウにイライラ。そんなエイコの心配もヘラヘラと交わし、
プータローのリョウは毎日プラプラ飲みに行ったり、たまに日当のバイトをしてみたり。
世間は企業戦士や華やかさがもてはやされ、「マニュアル通りの成功」や「型にハマった人生」が当たり前とされていた時代。多様性とは無縁な風潮の中 色眼鏡ではなくフラットな感覚で生きる、自由なリョウを通して、世間知らずなエイコは、徐々に 世の中の「隙間」や「影」で生きる色々な人々を知ることになります。
もちろん全巻読んではいますが、ここでは1〜3巻にピックアップしました。
私としては、この3巻までで 一旦まとめたら感想が書きやすい気がして(第一部?)(4巻からは、第二部)
そして数十年ぶりに読み返し、新たに気づいた(というか私がそう思った)部分をここで書き出したいと思います。
①大山君は、なぜ初対面のカヨから突然プロポーズをされたときに即断らなかったのか?(急すぎるとは言っているけど拒否はしていない)
②奥崎がトキエと出会うことで性的不能の回復に至った経緯。
③トキエがカヨに憧れを抱きカヨに一喝された頃と、奥崎と出会い覚醒した後でのトキエの中での変化について
①大山君は、なぜ初対面のカヨから突然プロポーズをされたときに即断らなかったのか?
大山君は控えめでお人好し、自己主張をあまり得意としない性格。
カヨからの唐突なプロポーズは衝撃的ではありつつも、カヨの強い意志に流されずにはいられなかった可能性がある。そしてカヨの切迫した状況(出産間際、高齢の両親を安心させたいという希望)を断るよりも受け入れる選択をした。
大山君は、本当はずっと人生を変えるタイミングが欲しかったのではないか?(ちなみにカヨはそんな大山君のことを前々から気づいてチャンスを伺っていた) でも自分では、どうしたらいいのかわからなかった。そして戸惑いながらもカヨに何か前向きなものを感じていたのでは?
カヨと大山君があまりにタイプが違うので、それが逆にうまく合致するようにお互いが感じた?
②奥崎がトキエと出会うことで性的不能の回復に至った経緯
奥崎は若い頃のトラウマにより性的不全に陥っていた。(義理母との関係による罪悪感)
トキエと共に巡業するパートナーとしての時間、そしてお互いを理解し支え合う関係が、奥崎の心の傷を癒やした。トキエとの関係が奥崎の心に寄り添い、安心感や安心できる絆を生んだ可能性がある。心理的な安心感や愛情の受容が、トラウマを克服するきっかけになったのでは。
③トキエがカヨに憧れを抱きカヨに一喝された頃と、奥崎と出会い覚醒した後でのトキエの中での変化について
自己肯定感の極端な低さ:トキエは自分の居場所が見つけられず、自分には「価値が無い」と感じ自分に自信が無い女性。そのため、人からどう思われるかを過度に気にしており「人から認められたい」「承認されたい」という強い欲求を抱えがち。(久しぶりに会う高校の同級生に「恋人がいる」と嘘をつく空虚感と劣等感)
その欲求があまりにエスカレートすると、何かに依存したい。その弱さにつけ込む宗教(強く支配的な集団)や横領(手っ取り早く、バレずに欲求を満たす)に手を染めかねない極端なタイプだとカヨは指摘。
荒治療も兼ね奥崎との「金粉ショー」巡回を提案。→ 自分を変えたいトキエはこれはチャンスだと即承諾(カヨ苦笑)
結果:奥崎と共に金粉ショーの巡回を重ねる過程で、トキエは徐々に自信を得ていきます。
そして巡業が終わった頃には、積極的で魅力と自信に満ちた美しい女性へと変貌を遂げるに至ります。
3巻でのトキエのセリフ
「わたしは、ほかの誰とも、取り換えの効かない(わたし)なんだ…って思えるの。」
コレに尽きるでしょう。
外部の影響が変わるキッカケであっても、結局最後は自分の中の問題。
他人に自分を委ねず、自分だけの魅力や美しさに気付き、慈しむ姿は美しく、周りを魅了するのです。
自分を大事にしない人のことを、周りも大事にはしませんからね。
最後に
知らなかったんですが、狩撫麻礼さんは色々な漫画家さん達に影響を与えていたんですね。(高橋留美子・大友克洋・浦沢直樹などなど)
でも納得です。だってこんなに内容が濃いんだもん。
こんな素晴らしい作品が、埋もれて消えないように、一人でも多くの方と出会えるように
これからも私はブログを通してたくさんの人に紹介しますよ!

内容が気になる方はこちらからどうぞ

レディ・ガガ born this way
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